ne-ne-hohoho
2024.04.05
◯器の厚み、建築の偽り
古今東西の器やカトラリーをコレクトしている施主のための、キッチンスペースの増設。海を渡ってきた華麗な洋食器。日本各地の窯元の色が滲み出た陶器や磁器たち。それらが同じ場に共存している内装のあり方が求められた。
器と建築との違いについて、とても考えた。器の製造過程で必ず用いられる、マジェスティックな火。下地と仕上げが綯い交ぜになったテクスチャ。対して、建築で頻繁に用いられる塗装仕上げの膜厚は0.1mm(100μ)が標準とされる。0.1mmで取り繕られた薄っぺらい世界を仕上げと見なす、ある種の偽り。
厚みのある素材感が作り出す複雑さと不確かさをおおらかに内包した器の潔さに、敬意を通り越して嫉妬めいた感情さえ覚えた。
◯プリサイス・カオス
そのような心の揺れ動きを経て、素地を手がかりとした細部が、アンコントローラブルな全体像によって構成される内装を試みた。個性の強い器たちに対して、“計算され尽くした精緻な混沌”を作り出すことでしか、それらを受け止めることはできないと感じた。
荒材の小口をハンマーで叩いて角を取って挽板とした無垢のヒバ材カウンター。無計画に塗装された既存の柱梁のケレンがけ。アルミ素地や、漆の刷毛引きで表情をつけた灯具。などなど。
それら細部の背景となる床や立ち上がりには約7000枚のタイルを1枚ずつ貼ってもらった。目地を5ミリと設定しながらも、過剰な枚数によって誤差が生じた(生じさせた)。それは、冗長性を備えた72ミリ角のグリッドが作り出す、覚束ないゆらぎとも言えるかもしれない。
親しみと可笑しみが、うろつく場。ねーねーほほほ。
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簡易宿所改修
2024